ずっと取り上げようと思いつつ、書いてる時間がなくて先延ばしにしていたネタです。先日「さくらん」がテレビ朝日で放映されていたのでこの機会にエントリー立てました。
さくらん 特別版
さくらん 特別版 (2007/08/03) 土屋アンナ


監督は蜷川実花。アイドルが自己主張したい年頃になるとやたら撮られたがって、女目線のアートっぽい出来上がりの写真集がアイドルオタク的に
(-_-)となってしまう、あの、本業カメラマンの蜷川実花ですよ。それが安野モヨコ原作の吉原物を題材にして初めてメガホンを取った、というわけなんですね。
極彩色の衣装に極彩色のセット、キャストは時代設定を無視したバタ臭い顔立ちの美形男女、そして音楽はやはりある種のアイドルがお年頃になるとやたら好きと言いたがる椎名林檎、と徹底的にこの女流監督の美学(と嗜好)に貫かれた映画。

それはともかく、このような「吉原物」で当ブログ的に注目なのは「禿」なんですね。ハゲじゃなくて、「かぶろ」あるいは「かむろ」と読む(MS-IMEでは変換しませんね)、遊女付きの見習いの幼女のことです。必然、艶っぽい話になる作品の中で、禿の子役をどのような扱うか、そこに監督の姿勢が表れるわけなのですね。
主人公「きよ葉」の幼少時代役は小池彩夢。「続・三丁目の夕日 」にも出てた今注目の「小さな女優さん」です。
さて蜷川さん、さすが、彩夢ちゃんを単なる匿名的な一子役ではなく、「一人前扱い」していましたね(もっともそれは今の芸能界全体の傾向ではあるのですが)。その強気のキャラクターや、吉原という特異な世界に売られてきた子供がどのように成長するのかを描くうえで、きわめて重要な役割を担わされておりました。
そしてここに監督の美学(と嗜好)を見た、と思ったのは菅野美穂演じる花魁の「仕事」を覗き見るシーン。この作品に出るからにはこのくらいのことはやってもらいます、という姿勢を伺うことができました(もちろん、カット割りで、「本当に見せている」わけではありませんが)。またこのシーンでは、菅野美穂が濡れ場あり(それもかなり濃厚)なのにも驚き、また感心しましたが、「最中に」きよ葉のほうを振り返って艶然と笑う時のその表情といったら。僕は周りが言うほど彼女の事を「大女優」みたいに思ってるわけではありませんが、同世代でこれができるのはやはり彼女くらいしかいないな、と認めないわけにはいかないのでした(この作品では木村佳乃も濡れ場を披露しています)。
テレビではこのシーンは一部カットがありましたが、最初見たとき思わず笑ってしまった風呂場の「無数のおっぱい」のシーンもカットされてたなあ。
ちなみに松本人志はこの幼少期の描写に食い付いたようで、「子供時代をもっと見たかった」というようなことを書いています。

ともあれ、きよ葉幼少時代役を体当たりで演じた小池彩夢ちゃんには、拍手を送らずにはいられません。「牡丹と薔薇 」あたりに出てた頃は女の子女の子した雰囲気でしたが、ここまでやるとは思っていませんでした。
撮影当時は劇団ひまわり所属でしたが、この作品での活躍が認められてか現在はオフィスジュニアという俳優事務所に移籍しています。
http://www.officejr.jp/index.htm

他禿役で吉田里琴山口愛も出演。山口愛は花魁となったきよ葉に付いて、「仕事」を覗き見、そして土屋アンナが振り返って・・・と歴史は繰り返すのでした。

#関係ないけど、あるトーク番組を見て、あれ、まちゃまちゃ髪の色変えた?と思ったら普通に土屋アンナだったことがある