Im wunderschönen Monat Mai,
Als alle Knospen sprangen,
Da ist in meinem Herzen
Die Liebe aufgegangen.
...




ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)クリストフ・エッシェンバッハ(ピアノ)
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ドイツ・ロマン派を代表的する作曲家R.シューマンの歌曲集「詩人の恋」。その冒頭「美しい5月に」は、ひそやかに、しかしやや唐突に始まるピアノの前奏からきわめて強く引き込まれる曲です。たった8小節のメロディー(歌の部分)を2度繰り返しただけで、終止感もないまま次の曲に移ってしまう小品ですが、長調と短調が入り混じったような実に絶妙で繊細な佳曲。
<うるわしくも美しい5月に/すべてのつぼみがほころびると/僕の心の中にも/恋が咲き出でた>
という詩の内容にもかかわらず、僕などは「メランコリック」と感じてしまう曲調で、この感覚を味わいたくて、毎年新緑の季節になると必ず取り出して聴くCDです。

「うるわしくも美しい」というのは、ここで紹介したF=ディースカウ/クリストフ・エッシェンバッハ盤の訳に従ったものですが、"wunderschön"というドイツ語(そのまま英語にすると"wonder-beautiful")の感覚を一言で表すのは難しいようで(日本語の「わびさび」みたいな?)、他にもいろいろな訳を見かけます。

ちなみに、この連作歌曲集(原詩はH.ハイネ)、全16曲中7曲目で早くも失恋してしまうのですね。「恋」がもつのは時間にしてわずか8分ほど!(笑) そりゃあメランコリックにもなりますわな。
それはともかく、シューマンの、歌曲王シューベルトとはまた違う個性を十分に発揮した傑作。
ぜひ一聴を