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「えっ……」



そのとき詩子は、驚いたように俺の目を見た。



詩子の瞳は、さ迷うように小刻みに動く。


同時に、一瞬にして頬に赤みが差すのが分かった。



「今の俺には……お前しかいないんだ……」



その言葉は、間違いなく本音だった。


でも……。



だからと言って、全てが解決する訳じゃない。



詩子を、ちゃんと愛したい……。



俺は、そう決意していた。



そのためには、俺が忘れている過去をちゃんと知る必要がある。



過去は過去だ。


だけど、それを忘れることで済ますわけにはいかない。



「詩子、俺は……全てが知りたい……教えてくれないか? 詩子が知っていることを全部……」



詩子は一瞬困った表情をする。



そして、その後ゆっくりと頷いた。



「俺は……以前、君に逢ったことがあるのか?」


「……あるよ……何回も……」


「そう、か……俺は……ごめん……憶えてない……」


「ううん……いいの……」



詩子は寂しそうに、そう言った。



「創さんは……あたしのことなんか……気にも止めてなかったもん……」


「……そう、か……でも、今は……違うよ……」


「ありがとう……でも、あたしは……」



詩子は、また涙を流しながら言葉を詰まらせた。