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有無を言わさないような、意外に強い口調でルリちゃんは俺にそう言った。
俺は言われるままに渡されたケータイ番号にワン切りして、メールを送った。
「ありがとうございます! 連絡しますね! じゃぁ……」
にっこりと笑ったルリちゃんは、そう言ってカウンターの奥に入った。
ルリちゃんはマスターと何やら言葉を交わしている。
マスターは、うんうんと頷きながらチラチラと俺の顔を見ていた。
しかし、何なんだろう?
俺は不思議な気持ちだった。
いや、不思議というか少し不気味というか……。
まるで、俺の記憶が抜け落ちているようだ。
そう、ルリちゃんに関しての記憶が……。
まぁ、そんなバカなことはない訳で……。
きっとルリちゃんは、俺に似たアキトという男のことが忘れられないだろう。
ということは、それほどに忘れられない男がいたということか……。
俺は、これ以上ルリちゃんに関わらないほうが良い気がしていた。
だけど……何故か強烈にルリちゃんに惹かれている……。
そのときの俺は、そんな微妙な気持ちだったんだ。