それから、何事も無く数日が過ぎた。

そのカフェには自然と足が遠のいていたし、ルリちゃんから連絡もない。


そうなると俺は、不思議なことにルリちゃんのことが気になって仕方がなかった。


でも……。

きっと、関わらないほうが良い……。


俺の危機回避能力が、確かにそんな答えを出していた。

だけど……。


ルリちゃんに関わることは、厄介な種を抱え込むことに違いなかった。

でも、俺は……なぜか、それでも仕方ない気がしていた。


なぜなんだろう……ルリちゃんのことが気になって仕方ない。

それは……もちろん、ルリちゃんが美しいからではある。


でも、確かにそれだけじゃない。


俺には、何かが引っかかっていた。

それがなぜだかは、良く分からないけれど……。


そんな気持ちを抱えながら、一週間が過ぎた。

そして俺は、また原宿に居た。


「……ちょっと、顔を出してみるか……」


俺は、そんな独り言を呟きながらカフェのドアを開けた。


だけど……。

そこにはもう、ルリちゃんは居なかったんだ……。