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これは……フィギュア、か……?


でも……。



固いはずのフィギュアが柔らかい……そして、ほんのり温かかった。


それは、まるで……体温のような……。



俺は、左手に握っているものを見た。


それは……!?



それは、エンジェルだった。



およそ20cmほどの大きさで、半透明に透けてはいたが……。


それは、間違いなくエンジェルだった。



エンジェル!


やっと逢えた……。



俺は、目頭が熱くなるのを感じていた。



「ユート……お願い……ブラックエンジェルを消して……」



エンジェルの声が、頭の奥から聞こえていた。


ずっとずっと聞きたかった……エンジェルの声が……。



「エンジェル……でも、俺は……どうすれば……?」



エンジェルは、俺の目をじっと見つめながら言った。



「ブラックエンジェルの弱点は、喉なんだよ……だから、そこに……」


「だから、そこに……? どうすれば良いんだ?」


「あたしを……あたしを突き立てて……」


「突き立てる、だって? どうやって?」


「あたしの頭から、真っ直ぐに突き立てて! そうすれば、ブラックエンジェルは……」


「……分かったよ、エンジェル……」



俺はエンジェルを優しく右手に持ち替えた。



「行くよ、エンジェル……」



そして、俺の目の前に立ち上がったブラックエンジェルの喉に……。


真っ直ぐに、エンジェルを突き立てたんだ。