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「エ……エンジェルは……今……どこだ!?」



俺は激しい痛みに耐えながら、ブラックエンジェルに言う。



心臓の鼓動に合わせて血がドクドクと吹き出すのが分かる。



このままじゃ、俺の意識が落ちるまでそんなに時間がないかもしれない……。



「エンジェルは、な……追放されたよ……職務放棄をしたんでな……うわっははっはっは!」


「職務放棄、だって? それは、俺を……!?」


「そう、殺さなかったからさ……だから俺が代わりに殺しに来たって寸法さ……」



意識の部分部分がブラックアウトしていた。



それでも俺は、血液の回りが悪くなった脳で考えていた。



ブラックエンジェルとエンジェルは、表裏一体のはず……。


ブラックエンジェルは、エンジェルではないのか?



不条理な展開に、俺は絶望していた。


でも……。



さっきは確かにエンジェルの声が聞こえた。



それは、きっと空耳なんかじゃない……。


確かに、エンジェルはまだ俺のそばに居る。



メグと俺を引き合わせたのはブラックエンジェルの仕業なのか、それとも……?



エンジェルは追放された、とブラックエンジェルは言う。



でも、確かに……確かに、エンジェルは、まだ俺のそばに居るはずだ……。



俺は、最後の力を振り絞ってブラックエンジェルに問い掛けた。



「エンジェル……出て来てくれ! 君は、まだそこに居るんだろ?」


「……ムダだよ、ユートくん……そろそろ限界みたいだな……楽にしてやろうか……」



そう言ったブラックエンジェルは、美しくて冷たく俺に微笑んだ。