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メグは、困ったような顔をして俺に言った。
「ダメです! ユートさんはお兄さんだから……ユートさんで良いんです……それか……」
「うん? それか……?」
メグは恥ずかしそうに、俺の顔を上目遣いで見上げなから言った。
「それか……お兄ちゃん……あたし、お兄ちゃんがいないから……そう呼んでみたくて……」
マジですか!?
エンジェルに似た、こんな可愛い子が俺を……。
「お兄ちゃん」って呼びたい……だ、と……!?
俺は冷静さを装って、メグに言った。
「うーん……仕方ないな……じゃあ、お兄ちゃんで良いよ……」
「わーい! メグ嬉しいよぅ! じゃぁ……おにいちゃん……キャッ!やっぱり恥ずかしいかも……」
恥ずかしそうに微笑むメグを見ながら俺は、言い知れない感動に包まれていた。
これこそは、夢じゃないのか?
自分の予想を超えて、余りにハッピーなことが起きると……。
人はそれを現実とは思えないものなんだ……。
でも、これは現実なんだ……。
エンジェルが消えたのも現実。
そして、メグと出逢ったのも現実。
そして……そのメグが、俺を「お兄ちゃん」と呼ぶのも……現実か……。
俺は目の前に居るメグが愛しくて仕方なかった。
それは、リノに捨てられて……エンジェルに出逢って……。
そのエンジェルに感じていた感情よりも……もしかしたら、俺は……。
小田急線のホームで電車を待ちながら、俺はそんなことを感じていたんだ。