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「エンジェル! エンジェル!」



俺は、ただエンジェルの名前を呼ぶことしか出来なかった。



俺の腕の中のエンジェルは、もう……薄っぺらい灰色の……半透明な姿でしかなかった。



エンジェルは、もう言葉も発することが出来なくなっていた。



それでもエンジェルは……俺に向かって一生懸命に微笑みかけようとしていた。



エンジェル……本当に行ってしまうのか……?



俺は、やっと出逢えたのに……本当に愛せる人を……。



そのときエンジェルの声が直接、俺の頭のなかに響いて来た。



「ユート……ありがとう……あたしを忘れないで……ううん……忘れても良いよ……」


「なに言ってるんだよ……俺はエンジェルとずっと一緒に居たいよ……」


「……ユート……幸せになって欲しい……愛する人は、きっと見つかる……」


「エンジェル! 行くな! エンジェル!!」



エンジェルのカラダは、まるでガラスが砕けるようにバラバラに割れて弾けた。



そして、砂が風に吹き飛ばされるように……キラキラと輝きながら、消えて行った……。



俺は、もう声も出せずに……ただ呆然と立ち尽くしていた。



エンジェルが居ない世界なんて……生きている意味なんて無い……。



溢れ出す涙をそのままにして、俺は大声で叫んだ。



「エンジェル……俺は、お前を諦めない! 絶対に見つけてみせる!」



何のアテもなく、何の意味も無いことなのかもしれない。



だけど俺は、そう強く思った。



そのとき突然、カラダが押しつぶされるように重くなる。



真っ暗な穴に落ちたように、視界が黒く塗りつぶされて行く。