24
秋葉原で買ってきたフィギュアの箱をビニール袋から出す。
そしてフィギュア本体を箱からゆっくりと取り出して、パソコンデスクのモニターの横に置いた。
フィギュアには、透明な台座が付いていた。
その真ん中に、真珠を置く。
悲しげに輝く真珠の玉が、とても美しく見えた。
エンジェルは俺のすぐ上空をゆっくりと旋回しながら、そんな俺の姿を楽しそうに見ていた。
「エンジェル……どう? 気に入った?」
「うん! とっても気に入ったんだお! ありがとう、ユート……」
パソコンデスクの前に座った俺のすぐ目の前に、エンジェルがスッと下りて来る。
そしてフィギュアと重なるように、俺の方に顔を向けた。
「ユート……ごめん……あたし、ユートが大好き……」
突然のエンジェルの告白に、俺の頬は熱くなる。
まるで胸の奥底から湧き上がるような、そんな熱さが俺を包んだ。
でも……ごめんって、何だ?
何で謝るんだよ、エンジェル……。
ずっと心の奥に感じていた、不吉な予感。
それを俺は、エンジェルとの心の距離が近づくほどに強く感じている。
俺は、そんな予感を振りほどくようにエンジェルにキスをした。
相変わらず、エンジェルを肌で感じることは出来ない。
でも、確かに俺は……エンジェルとキスを交わしていた。
そのとき、フッと地球の重力が俺に重くのしかかって来る気がした。
カラダが重い……そして、急速に目の前の景色が色を失う。
モノクロの世界……瞬きするほどに濃く……時間が止まったような気がした。
目の前には、フィギュアがぼんやりと見える……エンジェルに良く似た姿が……。