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秋葉原で買ってきたフィギュアの箱をビニール袋から出す。



そしてフィギュア本体を箱からゆっくりと取り出して、パソコンデスクのモニターの横に置いた。



フィギュアには、透明な台座が付いていた。


その真ん中に、真珠を置く。



悲しげに輝く真珠の玉が、とても美しく見えた。



エンジェルは俺のすぐ上空をゆっくりと旋回しながら、そんな俺の姿を楽しそうに見ていた。



「エンジェル……どう? 気に入った?」


「うん! とっても気に入ったんだお! ありがとう、ユート……」



パソコンデスクの前に座った俺のすぐ目の前に、エンジェルがスッと下りて来る。


そしてフィギュアと重なるように、俺の方に顔を向けた。



「ユート……ごめん……あたし、ユートが大好き……」



突然のエンジェルの告白に、俺の頬は熱くなる。



まるで胸の奥底から湧き上がるような、そんな熱さが俺を包んだ。



でも……ごめんって、何だ?


何で謝るんだよ、エンジェル……。



ずっと心の奥に感じていた、不吉な予感。



それを俺は、エンジェルとの心の距離が近づくほどに強く感じている。



俺は、そんな予感を振りほどくようにエンジェルにキスをした。



相変わらず、エンジェルを肌で感じることは出来ない。



でも、確かに俺は……エンジェルとキスを交わしていた。



そのとき、フッと地球の重力が俺に重くのしかかって来る気がした。



カラダが重い……そして、急速に目の前の景色が色を失う。



モノクロの世界……瞬きするほどに濃く……時間が止まったような気がした。



目の前には、フィギュアがぼんやりと見える……エンジェルに良く似た姿が……。