16
ビニール袋に入ったフィギュアを持って、俺は店を出る。
エンジェルは、相変わらず楽しそうに俺のすぐ上空をくるくる飛び回っていた。
「で、どうしたいの? どこか行きたいの?」
「ううん! もう大満足だお! それより、ユートはどこか行きたいとこないの?」
「うーん、いや……別に……」
アキバと言えば、メイドカフェなんだろうが……別に興味はない。
「とりあえず、ちょっとブラブラ歩いてみようかな……」
「うん! お散歩! お散歩!」
楽しそうなエンジェルの声に、俺の心は癒されていた。
もしエンジェルが現れなかったとしたら俺は今だって、ただグータラ部屋で過ごしていただけだろう。
すっかり夜の闇が、アキバの街を包んでいた。
しかしネオンの灯りや店の灯りで、街全体が明るく輝いている気がした。
夜になっても、あらゆる場所にメイド姿の女の子が立っている。
メイドカフェのチラシを配りながら、俺に微笑みかける。
メイドの女の子は、確かに可愛い。
だが、もちろん俺の心が動くことなんてない。
俺は、自分から女との接触を極力避けていた。
仕事での繋がりは仕方がないが、それはただの仕事上でのことだ。
プライベートでは、女と話すチャンスなんて全く無い。
話すとしたらコンビニに居るレジの女の子と、といったくらいだ。
俺は、自分でも分かっていた。
女と関わることが面倒になったのは、リノと別れてからだ。
それくらい、俺はリノとの別れにダメージを受けた。
そして、それを全ての女と関わることを拒絶することで癒そうとしたのだ。