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下北沢駅から、小田急線に乗る。
エンジェルの気配は、一瞬消えたが……確かに、俺のそばに居るのが分かった。
そうか……エンジェルも電車に乗るのか……。
そんな微妙な可笑しさに、俺はついついニヤニヤする。
おっと、これじゃ怪しいヤツみたいだ……気をつけよう……。
「アハッ! 可愛いね、ユートって!」
エンジェルが、クスクス笑う。
俺は、頭の中でエンジェルに言った。
「だろ? まぁ、それは良いとして……どこ行きたいの?」
「そうねぇ……とりあえず、フィギュア見たいな!」
「フィギュア? そうなのか?」
「うん。可愛いの、欲しいの……」
「ふーん……どの店が良いのかな? 俺、良く知らないんだけど……」
「んっ、とね……万世橋側のガード下に安い店があるよ! あと、委託のショーケースとか……」
「へぇ……何でも知ってるんだな、君は……」
「ううん、そんな事ないよ! 知ってることだけ……」
それって、どこかのアニメで聞いたことがあるようなセリフだな……。
えーっと、何だっけ?
ば、ばけ……ばけ…………バケラッタ?
「オバQかよ!って、古っ!」
へぇ、エンジェルって……そんなベタなツッコミも出来るのか……。
面白いな……エンジェルって……。
俺は、そんなエンジェルを……確実に、好きになっている……。
エンジェルは、俺の創りだした理想的妄想なのかもな……。
そんな事を考えていると、電車が新宿駅のホームに滑り込んだ。