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それから、俺はシャワーを浴びた。
「エンジェル? 見てる? ほーれ、ほーれ!」
そんな俺のフザケた声には、エンジェルは何も応えない。
パンツ一枚でバスルームから出た俺は、黒い無地のポロシャツを着て、黒っぽい短パンを履く。
「よっ、と! ただいま、ユート!」
エンジェルが、楽しそうに俺に声を掛ける。
「何だよ、どこ行ってたんだよ? せっかく俺のカラダを拝ませてやろうと思ったのに!」
「べー、っだ! そんなの見たくないぉ!」
エンジェルは、可愛い……。
目を閉じると、夢の中に現れたエンジェルの顔が浮かび上がる。
「ねぇ、早く~!早く行こうよぉ~」
「分かったよ! じゃぁ、行くぞ!」
「うん! レッツゴー!」
俺のすぐそばに、エンジェルが居るのを感じていた。
まるでデートに出掛けるようなワクワクした気持ちで、俺はアパートのドアを開けた。
CASIO G-SHOCK、GW-M5600-1JFの液晶表示は、一秒の狂いもなく午後5時36分……今、45秒を指した。
初代Gのデザインを受け継ぐ、タフソーラーの電波時計だ。
時間を確認した俺は下北沢駅まで、のんびりと歩く。
思ったよりも、風が心地良い。
もう、秋なんだな……昼間は暑いけど、夜は涼しくなって来たし……。
俺の斜め後ろ上空を、エンジェルがフワフワ付いて来るのを感じていた。
「なぁ、お前……電車に乗るのか? それとも、空を飛んで来るの?」
エンジェルは、何も応えない。