「今は、まだ……って、そのうち見えるようになるのか?」



エンジェルは、そのことには答えずにこう言った。



「ねぇ! 今日は、どこにも出掛けないの?」


「うーん……暑いしな……」


「でも、もう夕方だぉ!きっと、涼しいぉ!」


「そうか……もうすぐ、9月だしな……どこか行こうかな……」


「うん! 行く、行く! 秋葉行くー!」


「えっ? 秋葉原? まぁ……いいけど……じゃぁ、行くか!」


「わー! 嬉しいぉ! やったー! アキバ! アキバ!」



そのとき俺は、自然と微笑んでいる自分に気づいていた。



こんなこと、久しぶりかもな……。



そんな気持ちとともに、俺はエンジェルの存在がごく自然な事に思えていた。



「なぁ、エンジェル……お前、ずっと俺のそばに居てくれるの?」


「居るぉ、居るぉ! 居て欲しいなら、ずっと!……ずっとユートを見てるから……」


「……うーん……トイレやお風呂も見てるわけ?」


「それは、無い! 見て欲しくないところは見えないから!」


「そか……じゃぁ、エッチしてるとことか見ないんだな!?」


「……それは……見てみたいかも……」


「なんでやねん!」



有り得ないこと……そんな現実が、俺には起こっている。


だけど、もうそんなことはどうでも良くなっていた。



夢の世界が、現実と繋がっている……。


いや、現実の世界が夢と繋がっているのか……?



俺がオカシクなったのか……これが、現実なのか……?



まぁ、どうでも良いか……。



「じゃぁ、行くか? エンジェル!」


「うん! 行こう、ユート!」



そのとき俺は、見えないエンジェルに優しく微笑みかけていた。