7
「今は、まだ……って、そのうち見えるようになるのか?」
エンジェルは、そのことには答えずにこう言った。
「ねぇ! 今日は、どこにも出掛けないの?」
「うーん……暑いしな……」
「でも、もう夕方だぉ!きっと、涼しいぉ!」
「そうか……もうすぐ、9月だしな……どこか行こうかな……」
「うん! 行く、行く! 秋葉行くー!」
「えっ? 秋葉原? まぁ……いいけど……じゃぁ、行くか!」
「わー! 嬉しいぉ! やったー! アキバ! アキバ!」
そのとき俺は、自然と微笑んでいる自分に気づいていた。
こんなこと、久しぶりかもな……。
そんな気持ちとともに、俺はエンジェルの存在がごく自然な事に思えていた。
「なぁ、エンジェル……お前、ずっと俺のそばに居てくれるの?」
「居るぉ、居るぉ! 居て欲しいなら、ずっと!……ずっとユートを見てるから……」
「……うーん……トイレやお風呂も見てるわけ?」
「それは、無い! 見て欲しくないところは見えないから!」
「そか……じゃぁ、エッチしてるとことか見ないんだな!?」
「……それは……見てみたいかも……」
「なんでやねん!」
有り得ないこと……そんな現実が、俺には起こっている。
だけど、もうそんなことはどうでも良くなっていた。
夢の世界が、現実と繋がっている……。
いや、現実の世界が夢と繋がっているのか……?
俺がオカシクなったのか……これが、現実なのか……?
まぁ、どうでも良いか……。
「じゃぁ、行くか? エンジェル!」
「うん! 行こう、ユート!」
そのとき俺は、見えないエンジェルに優しく微笑みかけていた。