真っ黒い服には、これまた反転した白いクロスが浮き上がっている。



エンジェルは、低い声で俺に言った。



「お前に生きる意味なんかあるはずないじゃないか!うわっはっはっは!」


「あぁ……それは、俺が一番良く分かっているよ……だから、別に嬉しくも悲しくもない」


「……なんだ、つまらねぇな……まぁ、それが真実。それを認めたくないだけなんだよ、人間は……」



俺は、ブラエン……いや、ブラックエンジェルをじっと見つめる。



ブラックエンジェルの顔は、エンジェルと全く変わっていない。


いや、それどころか更に美しくなっていた。



女なんて、そんなもんだよ……。


本当の心を隠して、いつも仮面を被っている。



そう、化粧という仮面を……。



だから俺は、絶対に女を信用しない。


信じるだけムダだ。



だって、必ず女は俺を裏切る。


そして、俺から離れて行くんだから……。



「そんなことはないのよ、ユート……」



気が付くと、ブラックエンジェルはいつの間にかエンジェルに戻っていた。


心が癒されるような、優しい声で俺に訴えかける。



「人間に、生きる意味なんて無い。だって、生きていることに意味があるんだから……」


「うん? それって、どういうことだ? 生きているだけで意味なんて無いだろ?」


「ユート……いつか、きっとあなたにも分かる時が来るわ……」



心に突き刺さるような、可愛すぎる笑顔を残してエンジェルは空に舞い上がる。


羽ばたいた羽が起こした風が、俺の頬を叩く。



真っ青だった空に、白い雲がぽっかりと浮かんでいる。



そして、明るい光に包まれたまま……俺は、汗だくで目を覚ましたってワケさ。