「うわー! 天使かよ……さすがに、軽やかに舞うなぁ……」



俺は、そんな独り言を呟きながら……なぜかニヤニヤ笑っていた。



俺の目の前で、フワリと羽を羽ばたかせた女の子は俺の顔を覗き込む。



その娘の名前は、エンジェル。



名前を訊いたわけではない。


夢のなかでは、それを知っているのが当たり前の事実だった。



エンジェルは、真っ白い羽根と同じような薄手の白いワンピースを着ていた。


その服は真っ白というわけではなく、まるで胸の前でクロスを切るような真っ黒い十字のラインが入っている。



冬服の制服を着た女子高生たちとは対照的に、真っ白いワンピースのエッジがキラキラ輝いて見える。


そして、エンジェルだけはちゃんと顔があった。



俺の目の前まで下りてきたエンジェルが、じっと俺を見つめる。



そして微笑みながら、エンジェルはこう言ったんだ。



「……あなたが生きる意味なんて、ないの……それは、あたしも同じ……」


「んっ? そうか……そうだよな……俺の思ったとおりだよ!」



俺は、何故か楽しくてケラケラ笑った。



「あのね……生きる意味なんて、人間にはないんだよ……」


「えっ? 君は、全ての人間に生きる意味なんて無いというのか?」



エンジェルは、まさに天使のような微笑で俺を見つめている。



そして、これまでに聴いたこともないような心地良い声で言った。



「……そう。すべての人間には生きる意味なんて無いんだよ!」


「そんなことはないだろう? 誰かの役に立ってる人には、生きる意味があるんじゃないのか?」



エンジェルは、微笑みながら首をゆっくりと左右に振る。



「違うよ。生きる意味なんて無いの。だって、それは……」



そのとき、急にエンジェルの声が低くなった。



そして、エンジェルの白い服が反転して真っ黒い服に変化した。