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詩子(うたこ)は、決心していた。
奏(かな)が居ない今、あたしが何とかして菜摘ちゃんを救わなきゃ……。
そんな気持ちが、詩子を突き動かしていた。
詩子は、菜摘に逢うのが怖かった。
創に変わってしまった、菜摘に逢うのがとても……。
詩子にとって、創は最初憧れだった。
菜摘に紹介された創は、そのとき詩子を見つめて爽やかに微笑んだ。
詩子は、そんな創のことが好きになってしまったのだ。
創が亡くなったと聞いて、詩子は酷いショックを受けた。
しかも、菜摘が……創に、なってしまって……。
詩子は、菜摘に逢うのが怖かった。
だけど、勇気を出して……創に逢いに行った。
最初に逢ったとき、詩子は菜摘の前から逃げ出してしまった。
それは、絢音からの連絡を受けたせいでもあった。
絢音は、菜摘を元に戻すために一年も一緒に生活をしていた。
解離性同一性障害の治療とは、人格をひとつにまとめることだ。
絢音は、創と菜摘の人格をお互いに交流させる努力をした。
しかし、未だにちゃんとした結果は出ていなかった。
菜摘は、多くの時間は菜摘ではなく創だった。
創が残した小説や日記を元に……菜摘は、その続きを書き続けていた。
それが、更に菜摘を創にしたのかもしれない。
しかし絢音は、それをどうしても止めさせることが出来なかった。