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創になった菜摘と奏(かな)は、穏やかな生活を送っていた。
そう、しばらくの間は……。
そんな生活が始まって数ヶ月が経った頃、菜摘に変化が起こり始めた。
菜摘が、突然に意識を失うようになったのだ。
そして、目が覚めた菜摘は元の菜摘に戻っていた。
鏡で自分の姿を見た菜摘は、半狂乱になった。
「創……どうして……創……!?」
菜摘は、自分自身を許せなかった。
創を殺してしまったという自戒の念と、創になろうとしている自分……。
そのどちらも、菜摘にとっては許せない事実だった。
そして菜摘は、奏に激しく当たった。
どうしようもない気持ちを、奏にぶつけるようにして……。
そして、また気を失った菜摘は創に戻るのだ。
そんなときアドバイスをくれたのは、絢音(あやね)だった。
臨床心理学を学んだ絢音は、言った。
「自分が菜摘と一緒に居るから……」と……。
奏は、そのとき感じたのだ。
自分は菜摘のそばに居てはいけないのだ、と……。
そして奏は、逃げるように日本を離れた。
詩子(うたこ)は、何とかして菜摘を元に戻したいと願った。
このままでは、何も変わらない……詩子は、そう感じていた。
ある日詩子はTwitterで、こんな小説を偶然見つけた。
#twnovel 大井町駅で泣きながら花束を持った女を見た。何故なんだろう?何で泣いているのだろう?そんなことを考えながら、僕は女の横を通り過ぎる。何で泣いているのかは分からない。でも、確かに僕は感じてしまったんだ。すれ違い様に。確かに彼女の涙の香りを。悲しみと絶望の香りを…。
詩子は、気づいていた。
この小説を書いたのは、菜摘なのだと。
自分が創の葬儀の夜にした行動を、別の視点から見たようなこの小説を読んだ詩子は……。
居ても立ってもいられずに、行動を起こしたのだ。