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「あの夜……あの花束を持って泣いていたのは……創なんだよ……」



えっ?



俺は、奏(かな)の言葉に耳を疑った。


奏は、いったい何を言っているんだ?



俺は、奏の顔をじっと見る。


奏は、相変わらず冷静に俺の目をじっと見据えていた。



もしかしたら……おかしくなったのは、奏のほうじゃないのか……?


俺は、そんなことを思っていた。



そして、そんな奏の言葉を聞いても絢音(あやね)も詩子(うたこ)も何も言わない。


ただ、少し悲しそうな顔で俺を見つめているだけだ。



もしかしたら……変なのは、この3人の女のほうではないのか?



俺は……騙されている?


でも……何のために?



「創は……本当は、菜摘なんだよ。菜摘の別の人格が、創なんだよ……」


「そんな、バカな……俺は創だよ……何、言ってるんだ?」



そのとき、俺は酷い頭痛を感じ始めていた。


目の前の景色が、急激にゆらぎ始める。


そして、そのうちに眼の奥が激しい痙攣を起こし始めた。



気持ちが悪い……まるで酷い船酔いになったみたいだ……。



俺の意識は、また急激に薄れ始めた。


そして、ガクッと力が抜けて、目の前が真っ白になり……そして……。



「……どうすれば、元に戻るんだろう……こんなことを何度繰り返しても同じなんじゃ……」


「詩子……いいのよ、これで……それでも、少しずつ菜摘は変化しているから……」


「そうなのかな、絢音さん……本当に、これでいいのかな……?」


「絢音を信じるしか無いでしょ……これまであたしと詩子が何をしてもダメだったんだから……」


「……そうだよね、奏ちゃん……絢音さんを信じるしか無いよね……」



そんな声を遠くに聴きながら、俺の意識は完全に消えた。