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俺は、菜摘のことは何も知らない。


いや、正確には憶えていないと言ったほうが良いのか?


いずれにしても、俺の記憶の中には菜摘という女はどこにも居なかった。



そのとき、ずっと黙っていた奏(かな)が口を開いた。



「絢音、詩子……もう、本当のことを言ったほうが良いよ……このままじゃ、何も変わらない……」



ある決意を秘めたように、奏はしっかりと俺を見つめていた。



「……あぁ……教えてくれ。俺に何が起こったのか? 本当のことを全て……」



顔を見合わせた3人の女は、お互いの意志を確認しあって頷く。



そして、奏がゆっくりと話し始めた。



「あの日……菜摘が亡くなった日……あの日から創は、壊れてしまったの……」


「……菜摘が亡くなった理由は……やはり、俺のせいなのか?」


「……そう……菜摘が亡くなったのは……創さんのせいだよ……」



俺は、奏の言葉を何故か冷静に聞いていた。



全ては、俺の予想通りなのだ。



奏が亡くなったと聞いたこと……それは結局、本当のことではなかった。


しかし、それは……菜摘が亡くなったことをなぞったものだった。



結局……俺は、罪を犯していた。


それは奏ではなく、菜摘だっただけだ。


同じことなのだ。


俺は、自分のせいでひとりの女を殺した。



そして、それは……きっと、俺自身の意志で……。



今の俺の状態を作ったのは、子どもの頃のトラウマが原因だったのかもしれない。


そして、奏がそれを思い出させるキッカケを作った。



しかし、本当は……そんなことは関係なかったのかもしれない。



すべての鍵は……そう。


菜摘と俺の関係にあるのだから、きっと……。