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「俺は……俺の記憶は……!?」



俺は、とてつもない恐怖を感じていた。



俺の記憶……それは……どこまでが正しくて、どこからが正しくないのか?


それが良く分からなくなっていた。



俺が正しいと思っている記憶は……もしかしたら造られたものなのかもしれない。



そんな不安が、いま俺を包み込んでいる。



確かに、俺の背中には無数の傷がある。



そして俺は、その傷の意味を考えないようにしていた。



俺の記憶は、誰かにコントロールされているのか?



いや、それとも……。


俺自身がコントロールしているのか……?



確かに俺は、そうだった。


見たくないところは、見ないようにしていた。



何かのせい、誰かのせいにするつもりはない。


そんなことは、もうホントにどうでも良い。



俺は、そのとき決めたんだ。



現実は、現実として全てを受け入れる。


全ての話を聞いて、それを自分の中で消化する。



そして、その上で……俺は、これからを生きたい……。


それが今の俺の、正直な気持ちなんだ。



「そうだよな……俺は虐待されてた……そして、それがきっと俺の病気の原因だと思う……」



俺は……きっと、そんな自分の過去を……無意識のうちに恥じて来たのかもしれない。



そして、今……それを認めることで、少しだけ心が軽くなったような気がしていたんだ。