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奏(かな)は、それでもゆっくりと言葉を続けた。



「創……ごめんなさい……あたしのせいで……」


「何が……原因なんだ? もしかして……?」


「うん……あたしの暴力だよ、きっと……」



奏は、確かに酒癖が悪かった。



普段は何ともないが、酒を飲み過ぎると豹変した。


そして、俺に暴力を振るった。



確かに……俺には、ちゃんとした記憶がない。



奏が荒れ始めて、俺に暴力を振るう。


そこまでの記憶はあるが……その後のことは、良く憶えていないのだ。



その瞬間に、俺の人格は入れ替わるのだろうか?


そして、俺は……きっと、それ以上に奏に酷い事をしたに違いない。



だから奏は、俺を捨てて逃げた……。


きっと、そうに違いない……。



俺は、何とも言えない虚しさを感じていた。



やはり……俺のせいなんだ。



「創が……悪いわけじゃないよ……」



口を開いたのは、絢音(あやね)だった。



「創は……子どもの頃のトラウマのせいで、解離性同一性障害になったんだと思う……」


「トラウマ、だって? 俺が、何の?」



俺には、心当たりがない。


でも……本当は、気づいていた。


そのことを認めたくなかったのかもしれない……。



「創の背中には……たくさんの傷があった……それは、心の傷でもあるんだよ……」



絢音は冷静な顔で、優しくそう言ったんだ。