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リビングのフローリングには、柔らかなラグが敷いてある。
その上に、俺、奏(かな)、絢音(あやね)、詩子(うたこ)の四人が座った。
俺に向き合うようにして、正面には絢音。
俺の左手には、奏。
そして、右手には詩子が居た。
俺は、ゆっくりと三人の女の顔を見渡す。
……しかし、何という状況なんだろうな……。
俺は、こんな奇妙な状況を楽しんでいる。
変な話だが、本当にそう感じていた。
もう逢えないと思っていた奏……。
そして、奏と同じように姿を消した絢音……。
そして、ふたりを繋ぐ詩子……俺が愛し始めた女……。
この三人の女は、同じなんだ。
そう……時間の流れを超えて、俺が愛した女……。
そして、俺が逢いたかった女……。
俺は、ゆっくりと微笑みながら三人の女に言った。
「君たちは……三人で連絡を取り合っていたんだよね? 何で?」
三人の女たちは、それぞれに顔を見合わせている。
誰が事情を説明しようかと、探り合っているようだ。
「俺は、ね……ただ……知りたいんだよ。何が起こったのか? だだ、それを……」
少しの沈黙の後、絢音がゆっくりと口を開く。
「創……ごめんね……」
また、か……謝られても、もう仕方ないのに……。
俺は、もう一度三人の女の顔をゆっくりと見渡した。
そして、ゆっくりと言葉を続けた。