79


ドアの先に居たのは……絢音だった。



絢音の後ろには、隠れるようにして詩子が立っている。



俺はフッと苦笑いしながら、ふたりを手招きした。



詩子は、きっと絢音を連れて来る……。



それは、俺が予感していた通りのことだった。



笑顔の俺を見て、絢音と詩子は驚いたように顔を見合わせた。


それは、俺が予想外の対応をしたからに違いない。



俺は、なぜか冷静だった。


それは、きっと俺自身が予想していたよりも……。



こうなることは、分かっていたからなのかもしれない。


いや、きっと俺はこうなることを予感していたんだ。



そして今、3人の女がこの部屋に集まった。


時計の外れた歯車が、もう一度組み合わさるように……。



そしてきっと、時間は動き出す。


あのとき止まってしまった時間が……。



俺は、冷静だった。


だって……


別に、俺を取り合うわけでもないし……。


別に、何を争うわけでもないし……。



争い事が、もう起きる訳もない。


だって俺の知らないところで、3人の女は意志を確認しあっていたんだ。



そんなことは、もうどうでも良い。



俺は、ただ知りたかったんだ。


失われた俺の記憶の裏で、何が起こっていたのか?



ただ、それだけを……。