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「奏(かな)、俺は……きっと君に酷い事をしてしまったんじゃないのか? だから……」
「……もう良いんだよ、創……もう……お互い様だから……」
そう言った奏の目は、とても悲しそうだった。
そんな奏の目を見た俺は、そのとき痛感したんだ。
思い出せないにしても……俺は、間違いなく奏を傷つけた……。
それも、自分の身を隠すほどに……。
俺は、いったい何をしたのか……?
相変わらず、全く思い出せないでいた。
だけど……いや、だからこそ……。
俺は、自分の罪に苛まれていた。
俺は奏に、もう何も言えなかった。
奏に掛ける言葉が、見つけられなかった。
奏が目の前に現れても……俺たちは、もう終りだ。
絢音が居ても、詩子が居ても……それは別の話なんだ。
俺の一番は、間違いなく奏だった。
でも俺は、それを失ってしまった。
それも、きっと自分自身のせいで……。
俺は、ゆっくりと部屋の天井を見上げる。
真っ白い天井が、やけに寂しく見えた。
そのとき、突然玄関のドアが開く音がした。
詩子が帰って来たんだ……。
俺は奏から離れるように、無意識にソファーから立ち上がる。
リビングの入り口のドアまで、ゆっくりと歩く。
そして、目の前でドアがゆっくりと開いた。