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エレベーターに乗り込んで、俺は7階のボタンを押す。



ゆっくりとドアが閉まって、エレベーターは上昇し始めた。



階数を表示するデジタルのLED光が、俺の網膜を刺激する。



この映像……俺は……見たことがある……!?



俺の頭の中で、何かが動き始めていた。


それは、うっすらと、しかし確実に。



エレベーターが7階に停止する。


開いたドアの隙間から、俺は足早に歩き出す。



そのとき、俺の意識は確実に変わり始めていた。



ただ流されるだけじゃなくて、自分で真実を知りたい。



それは、まるで原始的な欲求のように無意識に俺を突き動かす。



奏(かな)の部屋の前に立って、俺はゆっくりと呼び鈴を押した。



しかし、反応はない。



ドアのノブに、手を掛ける。


ノブは、何の抵抗もなくスムーズに回った。



鍵は掛かっていないのか……。



ドアをゆっくりと手前に引いて、俺は奏の部屋にカラダを滑りこませる。


玄関には、女物の赤いハイヒールが一足しかない。



アレッ……このハイヒールって……。



俺はザワザワする心を抑え込みながら、急いでYONEXのウォーキングシューズを脱ぐ。



まさか……まさか……!?



俺は、悪い予感を感じながらリビングへのドアを開けた。