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「あぁ……俺は……知りたいんだよ……」
「そう……そう、だよね……」
詩子は、ゆっくりと言葉を続ける。
「あの日……あたしのケータイにメールが来たの。奏(かな)ちゃんから……」
「……うん……どんなメール……?」
一瞬の間を置いて、詩子は一気に話し始めた。
「それは……もう、創を信じられないって……ゴメンなさい、ゴメンなさ……」
詩子の瞳から、ポロポロと涙がこぼれ落ちる。
ヒックヒックとすすり上げながら、それでも詩子は、言葉を続けようとする。
それは、俺に真実を伝えたいという強い思いがあるからに違いない……。
俺は詩子の髪を撫でながら、そんなことを考えていた。
「そのとき、とても……悪い予感がして……とても……怖かった……」
小刻みに震える詩子の細いカラダを、俺はギュッと抱き締める。
詩子は、すすり泣きながら俺の耳元で言葉を続けた。
「奏ちゃんは……飛び降りたんだ……ビルの屋上から……」
えっ……。
俺は、強い衝撃を受けていた。
それは、自分が思っていた以上に強力に俺の心を揺さぶっている。
俺は……覚悟していた……筈だった……。
……事故だったら、まだ仕方ないと思うことも出来たのかもしれない。
しかし、奏は……自分で自分の命を絶ってしまったのか……。
そのとき俺は、急に目の前が真っ暗になるのを感じていた。
頭が痛い……何かが、おかしい……!