61
「あたしは……創さんのことが……好きだった……だから……」
えっ?
俺は詩子の言葉に、また悪い予感がしていた。
詩子は、いつから俺のことを知ってるんだ?
俺は、詩子が言った言葉が引っかかっていた。
「お姉ちゃんは……亡くなったんだ、よ……あたしの……せいで……」
あたしの……せいで……、だって?
俺は、漠然とした不安に包まれていた。
まさか……詩子が……?
いや、そんなバカなことはないよな……。
俺は、詩子をじっと見る。
詩子は、また静かに涙を流していた。
詩子……。
そんな詩子の姿が、俺の気持ちを更に不安にさせる。
それは……間違いなく俺が、詩子を愛しいと感じている証拠だ。
俺は、そのときそんな気持を実感していた。
そして、それは……同時に、過去の俺自身を見つめ直す勇気をくれたんだ。
奏(かな)とのこと……。
絢音とのこと……。
そして……詩子とのこと……。
だから俺は、詩子を抱き締めながらひとつの決意をしたんだ。