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「あたしは……創さんのことが……好きだった……だから……」



えっ?



俺は詩子の言葉に、また悪い予感がしていた。



詩子は、いつから俺のことを知ってるんだ?



俺は、詩子が言った言葉が引っかかっていた。



「お姉ちゃんは……亡くなったんだ、よ……あたしの……せいで……」



あたしの……せいで……、だって?



俺は、漠然とした不安に包まれていた。



まさか……詩子が……?


いや、そんなバカなことはないよな……。



俺は、詩子をじっと見る。



詩子は、また静かに涙を流していた。



詩子……。



そんな詩子の姿が、俺の気持ちを更に不安にさせる。



それは……間違いなく俺が、詩子を愛しいと感じている証拠だ。



俺は、そのときそんな気持を実感していた。



そして、それは……同時に、過去の俺自身を見つめ直す勇気をくれたんだ。



奏(かな)とのこと……。



絢音とのこと……。



そして……詩子とのこと……。



だから俺は、詩子を抱き締めながらひとつの決意をしたんだ。