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俺は、詩子に掛ける言葉を選んでいた。



しかし、うまい言葉が見つからない。


そうなれば俺は、ただ詩子を抱き締めるしかなかった。



どうして詩子のお姉さん…奏(かな)さんが亡くなったのか……。



その理由を詩子に訊くのは酷な気がしていた。



詩子が話したくなったら、俺は聞けばいい。



そう……それで良いんだ……。



俺は、間違いなく詩子が愛しい。



涙を流し続ける顔だって、とても可愛く思えた。



俺が……詩子を護りたい……。



そんな気持が、フツフツと俺の心を支配し始めていた。


だけど……。



詩子は、それに応えてくれるのだろうか?



俺は、また悪い予感がしていた。


いや、でも……。



そのとき詩子が、ゆっくりと顔を上げて俺を見た。


潤んだ瞳で、じっと真っ直ぐに。



「……創さん……何も訊かないんだね、あたしに……」


「……あぁ……辛いのなら、無理に話すことはないよ……」


「優しいんだね、創さんは……さすが奏ちゃんが好きになった人……」



そう言って詩子は、ゆっくりと微笑んだ。



俺は、また何と返事をしたら良いのか分からずに……じっと詩子の瞳を見つめ返すだけだった。



「……奏ちゃんは、創さんの小説をずっと読んでいたんだよ……知ってた?」


「……いや、ごめん……分からなかった……」


「そっか……」



詩子は寂しそうな顔をして、ゆっくりと目を伏せた。