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詩子は、ドアを開いたまま玄関の奥に入る。



俺は一瞬躊躇しながらも、玄関に入ってドアを閉めた。



「あっ、鍵……掛けてくれる?」


「あ、あぁ……」



ゆっくりと振り返った俺は、鍵をガチャリと掛けた。



俺は今……詩子とふたりで、密室に居るんだよな……。



「ねぇ……創さん……」



俺を呼ぶ詩子の声の方に、俺は振り向こうとした。



そのとき、急に俺の背中に詩子が抱きついて来た。



えっ?



心臓が、急にバクバクと鼓動を速めた。



俺の腹の前に回した腕に、詩子はゆっくりと力を込める。



ギュッと抱き締められた俺は、その時かなり動揺していた。



「創さん……大好きなの……」



詩子の消え入りそうな声に、俺の胸は悲鳴を上げ始めていた。



「詩子……どうしたの?」



それでも俺は、冷静さを装って詩子にそう言った。



「創さんに……話さなくちゃいけないことがあるから……」



話さなきゃいけないこと、か……。



しかし、それは一体どんなことなのだろう……?



俺は少しだけ胸騒ぎを感じながらも、詩子の腕を優しく振りほどく。



そして、詩子に向かって振り向いた俺は……正面から、ゆっくりと詩子を抱き締めた。