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それでも俺は、駅の周りを捜す。
詩子がいるはずがないことなんて分かっていたのに……。
寒い、な……。
それは、きっと気温のせいだけではない。
たぶん、突然消えてしまった詩子のせいでもある。
詩子は、どうして消えてしまったのだろう?
どうして……?
それから、ずいぶん長い時間……俺は、詩子を探し続けた。
俺は、結局……詩子を見つけることは出来なかった。
左手に巻いたROLEX OYSTER DATEの針は、午前3時を回っていた。
もう帰る、か……。
ゼームス坂をのんびりと下りながら、俺は考えていた。
なぜ詩子は、俺に逢いに来たんだろう?
そして、なぜ消えたのか?
詩子のお姉さん……あの花束を持った女は……なぜ泣いていたんだろう?
分からない……分からない事だらけだ……。
ふと立ち止まって、夜空を見上げる。
今夜は、星も見えない曇り空だ。
俺は、ゆっくりと目を閉じる。
さっきまで一緒にいた、詩子の顔を思い出そうとする。
でも……なんとなく、その輪郭はぼやけてしまっていた。
はぁ……。
俺は、ひとつため息をつく。
そのとき、俺は……間違いなく詩子を愛し始めていたのかもしれない。