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俺は、受付のカウンターで店員に訊く。



「すいません……僕と一緒に来た女の子……もしかして、出て行きましたか?」


「えぇ……かなり前に出て行かれましたよ……」



店員は落ち着いた様子で、そう言った。



女に逃げられる男なんて、よくいるんだろうな……。



俺は、冷静にそんなことを考える。



そうか……俺も、そう思われてるんだろうな……。



俺は、自分のブースに戻ってジャケットを着る。



ここに居ても仕方ない……出るか……。



俺は、カウンターで店員に声を掛けて、ネットカフェを出た。



昼間は暖かいが、さすがにこんな夜中だと寒い。


というか、ほとんど冬のようだ。




しかし……詩子は、どこへ行ってしまったのだろう?



俺は、詩子が心配だった。


でも……。



それでも何故か、俺は冷静だった。



それは、とても不思議な感情だった。



こんな状況であれば、本来なら詩子が心配で仕方ないはずだ。


でも、俺は……不思議と落ち着いていられた。



それは……あのブースを詩子が出た時から、俺には分かっていたんだ。



詩子は戻って来ない。



そんな予感がした。



そして……俺には、確かに分かっていたんだ。



俺は、また詩子に逢える……いや、逢わなければならない……。



それは、とても不思議な感情だった。



言い換えれば、それは……運命にも似た、予感だったのかもしれない。