20
詩子は驚いたように俺の顔を見つめる。
「あたしは……詩子、だよ……」
「知ってる……君は詩子、だよな……」
詩子は困ったような顔をして、俺を見つめ続けていた。
「そして、君は……花束少女……bouquet girlだよな?」
詩子は、ゆっくりと頷いた。
「詩子、君は……あの夜、俺が駅前で見た女じゃない。そうだろ?」
詩子の頬を、ゆっくりと一粒の涙が流れる。
そして詩子は、ゆっくりと頷いた。
「どうして俺に逢いに来たんだ? どうして……?」
しばらくの時間のあと、詩子がゆっくりと口を開く。
「それは……言った通りだよ……創さんに逢いたかったから……」
俺は詩子の顔を、じっと見つめながら考える。
何かが、ずっと引っかかっていた。
詩子に逢ってから……。
ただ、俺には何の確証もない。
でも、何かが引っかかる……。
それは何の確証もない、ただの勘なのかもしれないけど……。
でも……。
「君は……あの日、俺が見た女の……妹だね? お姉さんに、何があったんだ?」
「どうして……知ってるの、創さん……?」
詩子は何かに気づいたかのように、その口を両手で塞いだ。
「図星、か……ごめん……カマかけた……」
詩子は、少し怒ったような顔で俺を見つめ続けている。
「本当ことを言うと……俺は、あの夜の女のことが気になっていたんだ……というか、ずっと心配だった……」
その時、詩子の瞳からたくさんの涙がこぼれ落ちた。