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勘定を済ませて、店を出る。



折りたたんだ千円札を渡そうとする詩子に、俺はつい微笑んでいた。



「いいよ、俺が誘ったんだから!」



そう言った俺に、詩子もバツが悪そうに微笑んだ。



少し酔っている様子の詩子の肩を、俺は自然に抱いていた。


そう……それがごく当たり前のような気がして……。



しばらく歩いて、ネットカフェに入る。


平日の今日は、ほとんど客も居ないようだ。



「朝までのパックでいいですか? ソファータイプにしますか、フラットタイプに?」



受付カウンターの向こうから、店員がヤケに明るくそう訊いた。



「えーっと、ソファータイプでいいよね?」



詩子が、恥ずかしそうに頷いた。


そのとき詩子は、俺の陰に隠れるようにして立っていた。



そんな風にされると、まるでこれから悪いことでもするみたいじゃないか……。


ラブホじゃないんだし……。



ネットカフェは、仕事の空いた時間に使ったことがある。


ヘッドフォンをしてネットを見たり、オンデマンドの映画を見たり……。


絢音と暮らし始めてからは、そんな自分独りの時間はこういった場所にしかなかった。



もちろん女と来るのは始めてだった。


それに、こんな夜中に来るのだって……。



前払いで、料金を払う。


ナイトパックで6時間、二人で2560円か……安いんだな……。



薄暗い通路を歩いて、割り当てられた狭いブースに入る。


ジャケットを脱いで、ハンガーを使って奥の壁に掛ける。



「詩子の上着も貸しなよ……掛けてやるから……」



俺がそう言ったその瞬間、詩子が俺にギュッと抱きついて来た。