15


「あぁ……ありがとう……」



俺は、そんなことしか言葉が出てこなかった。


それは、詩子の口から予想もしていなかった言葉を聞けたからだ。



素直に嬉しい……でも、そんなことに慣れていない俺は明らかに戸惑っていたんだ。



「あたし……創さんのファンだよ! でも……」


「うん? でも……?」



俺は、モジモジしながら顔を伏せた詩子を見つめた。



覗き込むようにして、詩子の表情を見る。


詩子は、困ったような顔で俺を見つめ返した。



ヤバイ……マジで可愛い……。



それでも俺は、きっと余裕があったんだ。



だって、俺には絢音が居る。



絢音以外の女には、絶対になびかない。


そう信じていたからこそ、俺は詩子に逢いに来たんだ。



「でも……ただのファンじゃ、いやかも……」



詩子の視線は、熱かった。



俺の胸は、それに反応するように急に鼓動を速めている。



あれっ……おかしい……。



俺は、自分の気持ちが微妙に変化し始めるのを感じていた。



「うん……ありがとう、詩子……君が俺のファン1号だね……」



そう言った俺は、冷静さを装ってビールを一気に飲み干した。


やけに、喉が乾いていた。



それから俺は、詩子といろいろな話をした。



でも……核心の話は、まだしていない。



そう……どうしてあの夜、詩子が花束を持って泣いていたのか……。


その理由については……。