13
俺と詩子は、生ビールで乾杯をした。
「じゃあ……何に乾杯?」
俺が冗談半分で詩子に訊く。
詩子は、少し考えた後にこう言った。
「うん! 逢えたことに乾杯! 逢いたかった、から……」
詩子は顔を赤らめて、真顔で俺をじっと見つめた。
俺は一瞬、詩子の大きな瞳に吸い込まれそうになる。
「あぁ……ありがとう……じゃぁ、とりあえず乾杯!」
二人のグラスが、乾いた音を立てて鳴った。
何がとりあえずか良く分からないが……。
俺は、そのとき明らかに動揺していた。
そして、ふと俺は冷静になる。
何で俺は詩子に逢いに来たんだっけ……?
でも、まぁ……そんなことはもうどうでもいいか……。
俺は、詩子をじっと見つめる。
詩子は、運ばれてきた食べ物を美味しそうにパクついていた。
「うわーっ! ホントに美味しいねっ!」
本当に美味しそうに食べる詩子の姿に、俺も自然と微笑んでいた。
「ねぇ、創さん……さっき、あたしが言った言葉の意味って判る?」
詩子が俺をチラチラ見ながら、小声でそう訊いた。
「んっ? さっき言った言葉……って?」
「もうっ! ……乾杯の時にあたしが言った言葉……」
「あぁ……逢いたかったから……ってやつか?」
「そう……その理由って判る?」
そして詩子は、俺の方に向き直ってじっと俺の目を見つめた。