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PCをシャットダウンして、リビングに居る絢音に声を掛ける。
「そろそろ寝ようか、絢音……」
「うん! すぐ行くね!」
絢音は、嬉しそうにテレビの電源を落とす。
ベッドに横になった俺は、左側に寝ている絢音に腕枕をしてやる。
そして、素顔になった絢音をじっと見つめる。
スッピンでも可愛いよな、絢音は……。
そんなことを思いながら、目を閉じている絢音に優しくキスをする。
絢音を優しく抱きしめながら、俺は間違いなく幸せを感じていた。
次の日、夜7時30分。
俺は、大井町駅に居た。
神保町での打合せは、思ったよりも早く終わった。
都営地下鉄三田線で日比谷に出て、そこから有楽町駅まで歩く。
そして、京浜東北線で大井町までやって来た。
待ち合わせの時間までは、まだ30分もある。
俺はゆっくりと喫煙所まで歩いて、NEXTに100円のターボライターで火を点けた。
今日も寒いな……もうすぐ5月なのに、どうしちまったんだろ?
夜風が、俺の頬や耳を鋭く冷やす。
今日はスーツの上にダウンを着ていたが、それでちょうどいいくらいの寒さだ。
まだ時間あるよな……寒いからアトレでもブラブラするかな……。
そんなことを考えながら、俺はタバコの火を消す。
そのとき、俺の背後から声がした。
「創さん? だよね……?」
振り向くと、そこには美しい女が立っていた。
えっ?
君は……詩子、なのか……?