絢音との生活は、穏やかに過ぎて行く。

それは刺激的ではないが、落ち着いた安心できる生活だった。


絢音には、何の不満もない。

本当に、そうだった……。


それでも俺は、自分自身の時間を作って小説を書く。


長編を書く事もあるし、気が向いたら短編も書く。

最近はTwitterでも小説を書いている。

ハッシュタグ #twnovel を付けて、132文字の超短編小説だ。

そんな少ない文字の制約の中で、どこまでも広がる世界観を作る。

それが俺の創作欲を掻き立てるんだ。


俺は、さっき見た駅前の女の事を書いてみたくなった。

泣きながら花束を持つ女……。

何があったのだろう?


以前俺は、恵比寿駅で泣いている女を見た事があった。

そして、こんなTwitterNovelを書いた。


#twnovel 恵比寿駅で泣きながら携帯で話している女とすれ違った。何故なんだろう?何で泣いているのだろう?そんなことを考えながら、僕は女とすれ違う。何を話しているのかは分からない。でも、確かに僕は感じてしまったんだ。すれ違い様に。確かに彼女の涙の香りを。悲しみと絶望の香りを。


それと同じ形で、今日のあの女の事を書いてみようと思った。


#twnovel 大井町駅で泣きながら花束を持った女を見た。何故なんだろう?何で泣いているのだろう?そんなことを考えながら、僕は女の横を通り過ぎる。何で泣いているのかは分からない。でも、確かに僕は感じてしまったんだ。すれ違い様に。確かに彼女の涙の香りを。悲しみと絶望の香りを…。


そして俺は、Twitterにそんな小説をアップする。


ふぅ……何だか、今日は疲れたな……。


壁に掛けたSEIKOの電波時計の針は、午前1時3分を示していた。

明日も早い……もう今日は寝るかな……。


俺はPCをシャットダウンして、リビングに居た絢音のそばに行く。

食卓の椅子に座ってテレビを見ていた絢音が、嬉しそうに微笑む。


俺は、そんな絢音を後ろから優しく抱き締める。

そして耳元で優しくこう囁いた。


「愛してるよ、絢音……」と。