絢音との生活は、何の不満もなかった。



明るくて、優しくて……絢音は、最高の女だ。


絢音の声も、仕草も、絢音の全てが愛しかった。



一緒に居て気を使わないし、でもお互いのことを話し合って……。


お互いを微妙に束縛しつつ、自由も認め合う。



絢音は自然な存在で……失うなんて、思いもしない。


本当に、俺にとって大切な存在だった。



絢音と一緒に暮らし始めて、もう1年が経った。



仕事に追われるだけの、孤独な毎日……。


それでも、その頃の俺はそんな生活が苦ではなかった。



自分がしたい様に、好き勝手に出来る……。


そんな生活が、とても気楽だったからだ。



女に縛られる生活は、もう嫌だったのかもしれない。



いろいろな女と関わってきた俺だが、どの女も必要以上に俺を束縛した。



言い換えれば、それは「愛」なのかもしれない。



だけど俺は、自分だけの時間も欲しい。


独りきりで考え事もしたい。



しかし、どの女もそれを邪魔しようとした。



そして俺は、ずっと心の奥底で燻っている思いがある。


それは……。



何かを残したい……何か、自分が生きた証を……。



そんな欲求が、ずっと俺を支配していた。



俺は、これまでに何か生きた証を残したのだろうか……?


いや、何もない……。



それは、所詮自己満足なのかもしれない。


だけど俺は、自分が生きた証を何らかの形で残したかったんだ。