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俺は、モンクレールのジャケットを引っ掛けて外へ出る。



俺の部屋の前の通りには、満開の桜並木があった。


そうか……もう春なんだよな……。



夕暮れの日曜日。


花冷えの、肌寒い気温だ。



俺の心も、きっと冷え切っていた。



考えれば考えるほど、結論は出ない。


考えようとしても、頭が痛くて重い……。



あれっ……何かおかしい……。


気が付くと、フラフラと蛇行しながら歩いている。



体が重い……足が動かない……。



そして俺は、ばったりと道端に倒れこむ。



かすかに見えた景色は、満開の桜だった。



何だか気持ち良いな……。


そして俺は、そのまま意識を失った。



気が付くと、俺は病院のベッドに寝ていた。



うん?


俺は、一体どうしたんだ?



左手には、点滴のチューブが繋がっていた。


そして、不思議なほどに頭の痛みも消えている。



俺は、ベッドサイドに置かれたケータイを、手に取る。


電池は、辛うじてまだあった。



えっ?


これっ、て……。