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優しく和奏の髪を撫でながら、俺は和奏の首筋に口づける。
和奏の漏らす甘い声に、俺の歯止めは効かなくなった。
「俺が……欲しいの?」
そう訊いた俺に、和奏はコクリと頷いた。
ラグの上にゆっくりと和奏を押し倒しながら、俺はいつになく冷静だった。
もう、このまま行くしかないよな……。
そのとき俺は、確かに葛藤していた。
このまま和奏を抱いてしまっても良いのだろうか……。
しかし、そんな迷いは一瞬にして消えた。
和奏を抱けるチャンスは、今しかない。
もしも、いま和奏を抱かなかったら……。
もう二度とそんなチャンスは訪れないかもしれないのだ。
そして、もしてこれが一度きりのチャンスだったとしても……。
抱かないよりはマシだ。
抱かないで後悔するよりは、抱いて後悔する方が良い。
それが俺のポリシーだから……。
ゆっくりと和奏を脱がせながら、俺はそんなことを考えていた。
俺の左腕を枕にして、和奏はスースーと寝息を立てていた。
目を閉じていても、可愛いな……。
俺は和奏の寝顔をじっと見つめながらそんなことを思っていた。
俺は、どうして千尋を抱けないのだろう?
それは……きっと和奏とは違うからなんだよな……。