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和奏の部屋は、渋谷にあった。



渋谷駅から恵比寿方面に歩く。


横断歩道を渡るとき、俺は和奏の手を取った。



和奏と手を繋いで歩きながら、俺は考えていた。



俺は、きっと和奏を抱くだろう。


そして、和奏を土曜日の女にする。



正直な気持ちを言えば、俺は千尋を愛していた。



そして、それ故に俺は千尋を抱けないでいた。



だけど俺は、それでも美雨を抱いた。



そして、茜、凛、綾乃……。


どの女も大切だった。



「何考えてるの、智樹さん……」


「あぁ、いや……和奏の部屋って、どんなのかな?ってさ……」



俺は、和奏に微笑みかける。



和奏は、嬉しそうに俺の目を見つめ返す。



俺は、幸せな男だ。


いい女と巡り逢って、いい関係になれる。



でも……。



俺の心は、葛藤を始めていたんだ。



俺を愛してくれる女、俺が愛したい女。


どちらが俺にとって良いのだろうか、と……。



俺は、千尋を愛している。


そのことは自覚していた。


だけど……。