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目の前を千尋が通り過ぎる。



その瞬間に、俺はハッとした。



どう説明したら良いのか……。


何か、磁石に引き寄せられる砂鉄のような……。



そんな風に、瞬間的に俺の気持ちは千尋に引き寄せられた。



とはいえ、俺は声を掛けようと動き出した訳ではない。



逆に、雷に打たれたかの様に一歩も動けないでいた。



俺は、ただ呆然と千尋のことを見つめていたんだ。



その時、千尋がチラッと俺の方を見た。



俺の視線と千尋の視線が、正面からぶつかる。



そして千尋はビックリしたような顔をした。



そして、とても魅力的な笑顔で俺に微笑みかける。



えっ?……何で!?



立ち止まった千尋が、俺の方にゆっくりと歩いてくる。



俺の心臓は、一瞬にして悲鳴を上げていた。



それでも俺は、一瞬にして千尋の姿をチェックしていた。



透き通るように白い肌……身長は155cmくらい、かな?


ナチュラルなメイクに、ネイルもシンプルだ。



ハードウォッシュのスキニーデニムに、ムートンのブーツ。


上半身は、暖かそうな空色のダウンを着ていた。



可愛い……。



俺の前に現れた千尋に、俺は心を奪われていた。



そして俺の目の前に立った千尋が、ゆっくりと口を開いた。