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木曜日。
俺は、女を探していた。
それはもちろん、木曜日の女を作るためだ。
偶然の出逢いは、本当に偶然に訪れる。
それは、まるで運命のように。
しかし、探そうとするとそう上手くは行かないものだ。
それが、現実……いや、宿命ともいうべきものか……。
それでも俺は、木曜日の女を探して街を歩く。
それが、俺のいま成すべき事だと信じていたから。
とはいえ、やはりそんなには上手くいかない。
そのことは、俺自身良く分かっていたんだ。
まぁ、焦ることもないよな……。
期限が決まっている訳でもない。
そして、いつまでも続けられるはずもない。
そのことも、俺は良く分かっていた。
俺は、苦笑いしながら夕焼けを見つめる。
表参道は、相変わらず人通りが多かった。
2月も半ば、か……そりゃ寒いわけだよな……。
澄んだ冷たい空気が、耳と鼻を冷たく刺す。
俺は、歩道脇にある喫煙コーナーでマルボロに火を点けた。
タバコの煙よりも、吐く息が白い……。
冷たい空気の中で吸うマルボロの味は格別だ。
寒さに弱い俺は、冬が嫌いだった。
そんな嫌いな季節の中で、唯一許せるのはタバコが旨いことだ……。
そんなことを考えながら、俺は流れゆく人の流れを眺めていた。
そして、その時。
俺は、千尋と出逢ったんだ。