38
「誰にでも、そんなこと言ってるんじゃないの?」
「……いや、そんなことはないよ。俺は、自分を安売りしない!」
「へぇ、そうなんだ……」
綾乃の表情が、少し柔らかくなる。
今の俺には、綾乃しか見えない。
それは、間違いのない事実だから。
「俺は、ずっと綾乃を捜していたんだ。ずっと逢いたかったから……」
真剣な声で、俺は綾乃にそう告げた。
そして綾乃は……何も言わずに、俺の手の上に自分の手を重ねた。
それから、2時間後。
綾乃は、俺の部屋に居た。
俺は、めったなことでは女を自分の部屋には上げない。
とはいえ、琴音が居なくなってからは何人もの女を呼んだが……。
それでも俺は、誰でも自分の部屋に上げるわけじゃない。
俺なりに、選んでいる。
それは、俺にとって安全と思える女かどうか?
それが基準になっていた。
ヤバそうな女は、さすがに部屋には上げない。
綾乃は、選ばれた女だ。
それは、綾乃から感じる柔らかさというか……。
一緒に居て感じる、安心感というか……。
とにかく、綾乃と過ごす時間はとてつもなく安らかだった。
「ねぇ、シャワー浴びて良い?」
綾乃が、そう言って艶やかに微笑む。
俺は、ガラにもなくドキドキしながら言ったんだ。
「あぁ、しっかり洗ってこいよ……」って。