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「誰にでも、そんなこと言ってるんじゃないの?」


「……いや、そんなことはないよ。俺は、自分を安売りしない!」


「へぇ、そうなんだ……」



綾乃の表情が、少し柔らかくなる。



今の俺には、綾乃しか見えない。


それは、間違いのない事実だから。



「俺は、ずっと綾乃を捜していたんだ。ずっと逢いたかったから……」



真剣な声で、俺は綾乃にそう告げた。



そして綾乃は……何も言わずに、俺の手の上に自分の手を重ねた。



それから、2時間後。



綾乃は、俺の部屋に居た。



俺は、めったなことでは女を自分の部屋には上げない。


とはいえ、琴音が居なくなってからは何人もの女を呼んだが……。



それでも俺は、誰でも自分の部屋に上げるわけじゃない。


俺なりに、選んでいる。



それは、俺にとって安全と思える女かどうか?


それが基準になっていた。



ヤバそうな女は、さすがに部屋には上げない。



綾乃は、選ばれた女だ。


それは、綾乃から感じる柔らかさというか……。


一緒に居て感じる、安心感というか……。



とにかく、綾乃と過ごす時間はとてつもなく安らかだった。



「ねぇ、シャワー浴びて良い?」



綾乃が、そう言って艶やかに微笑む。



俺は、ガラにもなくドキドキしながら言ったんだ。



「あぁ、しっかり洗ってこいよ……」って。