第3章 水曜日の女「綾乃」
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月曜日には、茜に逢う。
そして、火曜日には凛に逢う。
そんな生活が、俺には苦しかった。
もちろん、逢っている時には幸せと安らぎを感じられる。
だけど独りになった瞬間に俺は、どうしようもない虚無感に襲われるのだ。
それでも、俺は失いたくなかったんだ。
茜も、凛も……。
そして、ある水曜日。
俺は、綾乃と出逢った。
仕事が忙しい俺は、昼食をコンビニで済ますことがほとんどだ。
それでも天気の良い日には、弁当を買って近くの公園で食べることもある。
弁当を買うところは、決まっている。
黒米や赤米を使ったおにぎりをウリにしている店だ。
俺がいつも選ぶのは、赤米と黒米のおにぎりだ。
具は、両方とも無着色の明太子と決めていた。
おかずも、自然食をメインにしている店だ。
俺がいつも選ぶのは、筑前煮だった。
そんな弁当とほうじ茶のペットボトルを買って、公園のベンチで食べる。
もちろん、独りでだ。
俺は、会社の誰かと一緒に食事をするのが好きではない。
よっぽどのことがなければ、独りで食事を済ます。
普段はコンビニでおにぎりかサンドイッチを買って、自分のデスクで食べる。
食事の時くらい何も考えずに、独りの時間を過ごしたいからだ。
その日は天気が良くて、暖かかった。
そして公園のベンチには、珍しく空きがなかった。