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「でも、なぁに……智樹……」
そのとき凛は、初めて俺の名前を呼んだ。
俺は、嬉しいような困ったような変な気持ちを感じながら凛に言った。
「……俺は、今夜お前と一緒に居たいんだ……」
凛が、テーブルの上に置いた俺の左手を優しく握り締める。
そして俺は、その上に自分の右手を重ねた。
時計の針は、いつの間にか午前0時を回っていた。
さて、どうしようか……。
俺は、考えを巡らせる。
凛の部屋に行くか……。
小田急線の終電は、確か0時50分過ぎだったと思う。
確かに、まだ間に合う時間だが……。
凛は、いきなり俺を部屋に呼びたいのだろうか?
遠距離恋愛をしていると凛は言った。
もしそうならば、自分の部屋に彼氏以外の男を上げることはしないだろう。
俺の部屋に行くか……。
確かに、明日仕事に行くにはそのほうが都合が良い。
そうするか……。
俺は美味しそうに黒糖梅酒を飲む凛を見つめた。
そして、優しく声を掛ける。
「なぁ、凛……今夜、俺の……」
「うん……今夜、わたし智樹が……欲しい……かも……」
おいおい……。
俺は、苦笑いしながら凛の頭を優しく撫でる。
そして凛は、恥ずかしそうに俺に言ったんだ。
「ホテル、行く……どこか……二人きりになれる所……」