19
しかし、寒いな……。
デュベティカ・ベガのダウンを着ていても寒かった。
1月も末だ。
北国比べれば東京は暖かいだろうが、寒がりの俺は冬が苦手だ。
そんなことを考えていると、後ろから右肩をトントンと叩かれた。
振り向くと、そこには笑顔の凛が立っていた。
うわっ……やっぱり、可愛い……。
周りの男達の羨望の視線を感じながら、俺も凛に微笑みかける。
「お待たせっ! 待った?」
まだ待ち合わせの時間には、5分ある。
「ううん。まだ時間前だしな!」
「そっか! そうだよね!」
そう言って笑う凛が、とても愛しかった。
「とりあえず、どこかに落ち着こうか? 何食べたい?」
そう訊いた俺に、凛はズバリ言った。
「焼肉が食べたいなっ! 良い?」
「もちろん! じゃあ、あの店にしようかな……」
「うん! 連れてって! どこか知らないけどっ!」
「あはは! 了解!」
凛とのそんなくだらないやりとりが、俺にはとても楽しい。
そして凛は、スッと右手を俺に差し出す。
俺は、その手を左手で優しく握った。
「わぁ、冷たいね! やっぱりずいぶん前から待ってたんじゃないの?」
「いいや。手袋忘れたからさ!」
「そう……じゃあ、わたしが温めてあげるね!」
そう言いながら凛は握った手を自分の口の前に引き寄せて、フーッと息を吹きかけた。