11
それから俺と茜は、ビルの52階にあるレストランで食事を取った。
「茜のこと、色々と知りたいな……」
そう言いながら俺は、茜の瞳をじっと見つめた。
茜は恥ずかしそうに、それでも俺の目を見つめ返す。
俺は茜のことをいろいろと聞き出していた。
茜は東京出身だが、二十歳になって一人暮らしを始めたと言う。
「どこに住んでるの、茜……」
「えっと……初台……」
「へぇ、良いとこに住んでるんだね?」
「うん……実家と割と近い場所にマンションを借りたの」
「ふーん、そうなんだ……どんな部屋なのか、一度見に行きたいな」
そのとき茜は困ったような嬉しいような、そんな表情を見せた。
イタリアンの食事を終えた俺と茜は、またエレベーターに乗った。
茜は、また俺の横顔をじっと見つめている。
俺は左腕のTUDOR PRINCEを見る。
ピンクゴールドとステンレスのコンビの古い時計だ。
針は、午後8時を回っていた。
さて、これからどうしようか……。
俺は、優しく茜を引き寄せて耳元で囁く。
「今夜、茜と一緒に居たいんだ……お前は、どう?」
茜は顔を真っ赤にしながら、また俺の目をじっと見つめた。
そして、ゆっくりと頷きながら小さな声で俺に言ったんだ。
「……わたしも……智樹さんと一緒に居たい……」
かわいい子だな、茜は……。
俺は、ギュッと力を込めて茜を抱き締める。
小刻みに震える茜が、とても愛しく思えた。