10
いつの間にか、12月も半ばを過ぎてしまった。
あと数日で、クリスマスイブ……玲子の誕生日だ。
玲子とは毎日話をしていた。
それは孤独だった俺にとって、本当に大切な時間だった。
毎晩決まった時間に玲子と逢って、どうでも良いような話をする。
でも、そのことが俺にとっては本当に大切だったんだ。
そして俺は、ずっと考えていた。
玲子に贈るプレゼントは……何が良いのだろう?
神戸に住む玲子に逢いに行って、何か心のこもったプレゼントを渡したい……。
そうは思っていたが、やはり実際には無理だった。
俺のスケジュールは、年末ギリギリまでパンパンに詰まっていた。
仕事を放り出してまで神戸に行くのは、やはり違うと思う。
俺は玲子に逢いたい。
だけど……。
そして本当は、俺は怖かったのかもしれない。
実際に玲子に逢ってしまうことで、今の関係が壊れてしまうのではないかって……。
玲子の存在は、俺にとっての現実だった。
しかしそれは、やはりネット上でのことなんだ。
もしも玲子が俺に逢って……俺に失望してしまったら……。
俺と玲子の良好な関係は壊れてしまう……。
俺は、そのことがとても怖かった。
玲子は、俺に心を許してくれている……。
そのことは、良く分かっていた。
だけど、俺は……もう一歩を踏み出すことが出来ないでいた。
玲子の誕生日……クリスマスイブまで、あと3日。
その夜、玲子は突然姿を消した……。